田舎で駐車場経営は稼げる?メリットやデメリットをわかりやすく解説
目次
1.はじめに
都市部と比べて、土地の価格が安く、空き地や空き家など未活用の敷地が多く残されている地方・田舎エリア。相続によって思いがけず広大な土地を取得したものの、どう使えばいいのか分からず、そのまま何年も放置されたままのケースも少なくありません。
固定資産税や除草などの管理コストを負担しながら未活用となっている土地に、建物を建てようにも、費用や需要が見合わなかったり、そもそも建築基準法上の制限やインフラ未整備で建築に不向きな土地だったりと、選択肢の幅が限られるのが地方の現実です。そうした中で近年注目されているのが、コストを抑えて始められ、柔軟な運用が可能な「駐車場経営」です。
この記事では、田舎での駐車場経営を検討している方に向けて、都市部との違いや需要の実情、メリット・デメリット、法規制についてわかりやすく解説します。
2.田舎での駐車場経営の特徴と都市部との違い
田舎でも駐車場経営は可能ですが、都市部とは収益性や需要構造が大きく異なります。この章では、地方ならではのメリットと注意点を整理し、成功のために知っておくべきポイントを解説します。
2-1.都市部との収益性・需要の違い
まず大前提として、田舎と都市部では駐車場経営における前提条件が大きく異なります。
都市部では、駐車場の回転率が非常に高く、1時間数百円といった時間貸しの料金設定でも安定した収益を上げることができます。オフィス街・商業施設・観光地など、車の出入りが多い場所では、24時間稼働の自動精算機が休む暇もないほど稼働し、月数十万円以上の収益をあげることも珍しくありません。
しかし田舎の場合、車社会であるにもかかわらず、駐車場にお金を払う文化が根付いていない地域も多くあります。大型店舗や役所、病院などの施設には無料の駐車場が併設されており、「お金を払ってまで駐車する」という発想が薄いのが実情です。こうした地域では、都市部と同じ収益モデルをそのまま持ち込んでも、空振りに終わるリスクが高くなります。
その一方で、地方にも確かなニーズが存在するエリアはあります。たとえば観光地の入口や鉄道駅の周辺など、日常的に車が集まりやすい場所では、月極や短時間利用の需要が安定して見込まれることもあります。つまり、「どこでも通用するわけではないが、適切な場所を選べば十分に収益化できる」というのが、田舎における駐車場経営の本質なのです。
2-2.田舎ならではの立地条件・需要特性
田舎での駐車場経営には、地方ならではの制約とチャンスが混在しています。
まずメリットとしては、土地の広さです。都市部では数十㎡の土地でも高値で売買されますが、地方では数百㎡単位の土地を低価格で所有していることも珍しくありません。こうした広い土地を持て余している方にとっては、駐車場としての活用は、有効な手段となり得ます。
一方で、地方では農地・山林・雑種地など、すぐには事業利用できない地目の土地も多く、法規制の確認や造成の必要性が出てくるケースもあります。また、道路に接していない旗竿地、極端に傾斜のある地形、不整形な区画などは、駐車場として整備する前に施工上の検討が必要です。
また、地方の駐車場利用者は、都市部と比べて回転率が低く、定期的な利用者に支えられる構造になりやすい傾向があります。周辺住民や商業施設・病院の従業員、駅やバス停までの送迎をする方々など、ローカルな需要をしっかり捉えられるかどうかが成否を分ける鍵となります。
3.田舎の土地を駐車場経営に活用するメリット
都市部に比べて需要や単価では見劣りしがちな田舎の土地ですが、活用次第では都市部にはないメリットを得られるケースも少なくありません。この章では、地方ならではの強みを活かした駐車場経営のメリットについて詳しく紹介します。
3-1.土地取得コスト・維持コストが圧倒的に安い
田舎では、都市部に比べて土地の価格が圧倒的に安く、取得費用や固定資産税などの維持費も大きく抑えられるのが大きな利点です。すでに相続などで所有している場合は、初期投資ゼロで始められるケースも多く、リスクを最小限にした土地活用が可能です。
また、都市部では数台分のスペースしか確保できないような価格でも、地方では十数台分の広さを持て余していることも珍しくなく、「広さ」に対してのコストパフォーマンスが非常に高いのが特徴です。
3-2.将来的な転用がしやすい
田舎の土地では、今後の再開発や世代交代などを視野に入れて「一時的にでも収益化したい」というニーズもあります。駐車場は、アパートや商業施設などと違って建築物がないため、将来的に売却・転用・建て替えを行う際のハードルが非常に低く、暫定活用に適した手段として選ばれやすいのです。都市部では少しでも収益性を最大化する必要がありますが、地方では「余っている土地を使っておく」というスタンスで始めることができるため、柔軟で負担の少ない土地活用として魅力的です。
4.デメリットと注意点
田舎の駐車場経営には多くのメリットがある一方で、当然ながら注意すべき点やリスクも存在します。事前にしっかりと理解し、対策を講じておくことで、失敗のリスクを減らすことができます。
4-1.需要の見極めが難しい
都市部と異なり、田舎では「人が集まる場所」が限られています。そのため、ただ空き地にコインパーキングを設置しただけでは、利用されず赤字になるリスクもあります。周辺の施設、道路状況、車の流れ、競合の有無などを総合的に判断しないと、想定したような稼働率を確保できません。とくに田舎の場合は「需要があるエリア」と「まったく使われないエリア」が極端に分かれるため、初期の立地調査が非常に重要です。主観的な判断に頼らず、駐車場経営の専門業者と連携し、事前にシミュレーションや収益予測を行うことが、失敗を避けるための現実的な方法です。
4-2.法規制・地目変更などの手続きが必要な場合も
特に田舎の土地では、農地や山林、原野、雑種地といった宅地以外の地目のまま保有しているケースが多く見られます。その中でも農地を駐車場に転用する場合は、注意が必要です。農地は原則として営農目的以外の利用が認められておらず、転用するには農地法に基づく許可が必要です。また、立地条件によってはそもそも許可が下りないケースもあり、「農地だから使えそう」と安易に考えるのは危険です。実際に転用できるかどうかは、各自治体や農業委員会の判断に大きく左右されるため、まずは行政や専門家に相談することを強くおすすめします。
5.成功するためのポイント
ここからは、田舎で駐車場経営を行う際に失敗しないための3つのポイントを解説します。
5-1.立地選定と需要調査がすべてを左右する
駐車場経営において最も重要なのは、「どこに作るか」という立地選定です。田舎であっても、車の出入りが集中する場所や、一時的でも需要が発生するスポットは数多く存在します。
たとえば、観光地の入り口、道の駅や温泉施設、役所や病院の周辺、地域の祭りや催し物が開催される公園・ホールの近くなどでは、イベント時や繁忙期に一時的なニーズが高まります。通年での収益化を目指すなら、病院や学校、工場、役所といった日常的な交通の発生地点が狙い目です。
加えて、事前の「需要調査」は必須です。近隣の駐車場が満車になっていないか、料金相場はどの程度か、月極契約の募集状況はどうか、周辺に無料駐車場があるかなど、現地を歩いて確かめることで、思わぬニーズが見えてくることもあります。現地調査に加えて、近隣施設への聞き取りや簡易アンケートなどを行えば、さらに具体的な判断材料が得られるでしょう。
5-2.コインパーキング or 月極の選択
田舎における駐車場経営では、需要に応じて「時間貸し(コインパーキング)」か「月極契約」を選択することが収益性に直結します。
観光地やイベントホールの近く、駅前や商業施設周辺など、一時的な車の出入りが多い場所では、短時間でも収益が得られるコインパーキングが適しています。逆に、住宅地や病院・工場の周辺など、継続的なニーズがある地域では月極契約のほうが管理の手間も少なく、長期的な安定収益につながります。
土地が広い場合は、「時間貸しエリア」と「月極エリア」を併設する混合型も有効的です。
5-3.管理方式の選択
都市部と違い、田舎での駐車場経営には、立地特性や利用ニーズに応じた戦略が求められます。その中でも、運用スタイル、つまり「どの管理方式を選ぶか」は、収益性・手間・リスクを左右する非常に重要な判断ポイントとなります。ここでは、代表的な3つの管理方式を比較しつつ、特に田舎において現実的で効果的な方法について解説します。
5-3-1.自主管理方式
自主管理方式は、オーナーが設備投資を行い、自ら料金設定や集金、清掃、クレーム対応まで一貫して行う運用スタイルです。売上がすべて自分のものになるため、うまく運用できれば収益性が高まる可能性があります。
しかし、集客施策や価格調整、トラブル時の対応、設備の保守などをすべて自身で担う必要があり、実際には多くの労力とノウハウが必要になります。田舎の場合、予測しづらい需要変動や天候・季節による影響も大きく、自力で安定運用するには高い対応力と時間的余裕が求められるのが実情です。
5-3-2.委託管理方式
委託管理方式では、設備導入はオーナーが行い、運営やメンテナンスは専門業者に任せる形となります。精算機のトラブル対応や問い合わせ窓口も業者が担うため、日常的な管理の負担は大きく軽減されます。
売上から業者への委託費用を差し引いた分が収益となるため、田舎ではそもそも需要が不安定であり、「設備費用をかけたが利用者が少ない」という事態にもなりかねません。そういった意味でも、立地に対するシビアな見極めが欠かせません。
5-3-3.一括借り上げ方式
田舎での駐車場経営において、もっとも現実的かつ安定した選択肢となるのが「一括借り上げ方式」です。この方式では、運営会社が土地を丸ごと借り受け、設備設置から料金設定、運営・集金・メンテナンス・クレーム対応までをすべて代行します。オーナーは土地を貸すだけで、毎月固定の賃料を受け取ることができ、需要の波や空車リスク、クレーム対応といったストレスから完全に解放されます。
特に田舎エリアでは、都市部のような高回転型の収益構造が見込みづらいため、一定額の収入が保証されるこの方式のメリットは非常に大きいといえます。病院や市役所、学校、観光地周辺など、一定のニーズが見込める地域では、運営会社が月極契約と時間貸しを組み合わせた柔軟なスタイルで運営してくれるケースもあり、より安定した運用が期待できます。
遠方に住んでいて現地対応が難しい方や、高齢のオーナー、相続で取得したが使い道に困っている土地などにも最適です。手間を最小限に抑え、確実に収益を得たい方にとっては、まさに理想的な選択肢といえるでしょう。
6.まとめ
田舎の土地を有効に活用する方法として、駐車場経営は非常に柔軟性の高い選択肢です。建物を建てる必要がなく、舗装工事さえ行えば、狭小地や不整形地でも収益化が可能です。また、撤退や用途変更も比較的容易なため、将来的な建築や売却を見据えた暫定的な土地活用としても注目されています。
とはいえ、すべての土地が高収益を生むわけではなく、立地や需要の見極め、法規制の確認、初期費用とのバランスを丁寧に見極めることが欠かせません。特に、遠方に住んでいる方や多忙な方にとっては、どの管理方式を選ぶかが、その後の運用成果を大きく左右します。
そうしたなかで注目されているのが、「一括借り上げ方式」による運営です。この方式であれば、運営会社が土地を借り上げてコインパーキングを設置・管理し、オーナーには毎月一定額の賃料が支払われるため、空車リスクや運営業務の煩雑さを気にすることなく、ほぼ手離れした経営が可能となります。特に、田舎での駐車場経営を検討している方にとっては、現実的かつ低リスクで収益化を実現できる手段として高い評価を得ています。
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