駐車場経営とアパート経営はどちらが得?|費用・収益性・リスクを比較
1.はじめに
土地を所有していると「資産として活用したい」と考えるものです。しかし、その方法となるとアパート経営や駐車場経営など選択肢が多く、どちらが自分に合っているのか判断に迷う方も少なくありません。特にアパート経営は高い収益を狙える一方でリスクや手間が大きく、駐車場経営は手軽に始められる反面、収益性が限定的といった特徴があります。
この記事では、両者の違いを徹底的に比較し、初期費用・収益性・リスク・土地条件といった観点から詳しく解説します。相続した土地や遊休地をどう活かすべきか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
2.アパート経営と駐車場経営はどちらが良い?
アパート経営と駐車場経営には、それぞれにメリット・デメリットがあり、目的や土地条件、オーナー自身の考え方によって「適している方」が異なります。ここでは、判断の目安となるポイントを整理しながら、両者を比較していきましょう。
2-1.税対策を最優先にしたい場合は「アパート経営」
相続税や固定資産税の負担を軽減したいと考える方には、アパート経営が有効です。建物を建てることで土地の「相続税評価額」を圧縮でき、結果として相続税の負担を軽くできます。さらに、アパートの敷地は住宅用地特例の対象となり、固定資産税が最大6分の1まで軽減されるケースもあります。つまり、純粋な収益目的だけでなく「節税」を目的に土地活用を考える方にとって、アパート経営は大きなメリットがあるのです。
2-2.初期費用を抑えたいなら「駐車場経営」
まとまった資金を用意するのが難しい方、あるいは大きな投資リスクを避けたい方には、駐車場経営が向いています。アパート経営には数千万円単位の建築費が必要ですが、駐車場経営なら舗装工事や精算機、看板設置など、数百万円規模の投資で始められます。特に月極駐車場であれば、ほぼ整地だけで運営可能な場合もあり、低コストでスタートできる点が魅力です。
2-3.狭小地や変形地を活かすなら「駐車場経営」
アパートやマンションの建築には、一定の敷地面積や整形された土地が必要ですが、駐車場であれば狭小地や変形地でも活用できます。例えば「三角形の土地」「奥行きが長い土地」など、建物の設計が難しい場所でも、駐車場なら区画割りを工夫すれば運営が可能です。こうした柔軟性は、駐車場経営の大きな強みといえます。
2-4.高い収益ポテンシャルを狙うなら「アパート経営」
収益性という観点では、アパート経営が駐車場経営を上回ります。月々の家賃収入は安定しており、立地条件が良ければ毎月数十万円以上の安定収益も期待できます。しかしその分、空室リスクや家賃滞納リスク、さらには大規模修繕やローン返済などの負担も発生します。高い収益と引き換えに、空室リスクや修繕費といった負担を受け入れられるという方に適した方法です。
2-5.手軽さ・管理負担の少なさを求めるなら「駐車場経営」
アパート経営では入居者対応やクレーム処理、設備の修繕など、多岐にわたる管理業務が必要です。一方、駐車場経営は比較的シンプルで、日常的な清掃やトラブル対応に絞られます。特にコインパーキングを後章で紹介する一括借り上げ方式で運営すれば、清掃・集金・設備保守・トラブル対応まで業者が担ってくれるため、オーナーはほぼ手間をかけずに毎月の収益を得ることが可能です。「本業が忙しい」「副業的に土地活用をしたい」という方にとって、駐車場経営は現実的な選択肢となります。
2-6.将来の転用や出口戦略を考えるなら「駐車場経営」
土地活用は、一度始めたら数十年単位で続くものも少なくありません。アパートを建てた場合、建物の解体や用途変更には多額の費用がかかり、柔軟に転用できないことが多いです。その点、駐車場経営であれば、舗装を撤去すれば更地に戻せるため、将来の売却や別の活用方法への転換もスムーズです。長期的な土地活用の自由度を残したい方にとっては、大きなメリットといえます。
3.初期費用と運用コストの比較
土地活用の大きな判断材料となるのが「どれくらいの資金が必要か」という点です。アパート経営と駐車場経営では、初期費用・維持費の構造がまったく異なります。ここを理解しておくことで、資金計画の現実味が増します。
3-1.アパート経営
アパート建築には数千万円から数億円規模の初期費用が必要です。建築費用はもちろん、設計料、登記費用、外構工事費などもかかります。さらにローンを組む場合は長期にわたる返済負担が続きます。運営を開始した後も、管理委託費や入居者募集の広告料、修繕積立金などが定期的に発生し、空室が続けばローンの返済を自己資金で補填する必要があります。
3-2.駐車場経営
駐車場経営に必要な初期費用は、舗装工事や区画ラインの設置、精算機や看板・照明などです。コインパーキング型であれば数百万円規模が目安で、月極型ならさらに抑えられるケースもあります。運営後の維持費は、電気代や清掃費、設備メンテナンス、保険料などで、毎月数万円程度で済むことが多いのが特徴です。アパート経営に比べて参入しやすく、資金リスクも小さく抑えられます。
4.収益性とリスクの比較
次に比較すべきは「どれくらい儲かるか」と「どんなリスクがあるか」です。収益の大きさだけでなく、安定性や想定外の出費リスクまで含めて検討する必要があります。
4-1.アパート経営
アパート経営の魅力は、家賃収入という大きな収益源です。立地や規模によっては毎月数十万円から数百万円規模の収入が期待でき、長期的に安定した資産形成が可能です。ただしリスクも大きく、空室が続けば家賃収入は途絶えます。さらに建物は老朽化するため、大規模修繕や設備更新に数百万円単位の費用が必要になります。家賃滞納や入居者トラブル、金利上昇による返済負担増も無視できません。
4-2.駐車場経営
駐車場経営は、アパートに比べると収益性は小さいものの、リスクを抑えやすいのが特徴です。コインパーキングなら需要に応じて料金設定を柔軟に変えられ、イベント時などに収益を伸ばすことも可能です。また、撤退や転用が容易で、大きな借金を背負わずに済む点も安心材料です。短期的な収益力よりも、低リスクで安定的な副収入を得たい人に向いています。
5.土地条件で選ぶ
同じ土地でも、アパートに適している場合と駐車場に向いている場合があります。ここを見誤ると、せっかくの投資が失敗につながりかねません。
駐車場経営に向いているのは、駅や商業施設、病院などの周辺で駐車需要がある場所や、路上駐車が多い住宅地です。さらに、狭小地や変形地などアパート建築が難しい土地でも、駐車場であれば柔軟に区画を切って収益化できます。
一方、アパート経営に向いているのは、駅近やスーパー・学校が近いエリア、住環境が良好な場所です。十分な敷地があり、日当たりや道路付けなどの条件が整っていれば、長期的に入居需要を見込むことができます。
6.駐車場経営の2つのタイプ
駐車場経営を検討する際には、「月極駐車場」と「コインパーキング」の違いを理解しておく必要があります。それぞれ収益の安定性や管理の負担が異なります。
6-1.月極駐車場
月極駐車場は、利用者と月単位の契約を結び、固定収入を得る方式です。契約者が見つかれば安定した収入が見込めますが、空きが出るとすぐに収入減となります。募集や契約手続き、集金方法をしっかり設計することがポイントです。
6-2.コインパーキング
コインパーキングは、時間貸し方式で回転率を高められるため、需要の高いエリアでは大きな収益を狙えます。観光地やイベント会場周辺などでは強力な収益源となりますが、精算機やナンバー認識カメラといった設備投資が必要で、精算機や監視カメラの不具合、無断駐車などのトラブル対応が必要となるケースもあります。
7.運営方式の選び方
駐車場経営では、運営方式によってオーナーの負担や収益の安定性が大きく変わります。
自主管理方式は、募集・契約手続き、清掃、トラブル対応など、すべてをオーナーが担う必要があります。収益を最大化できる一方で、時間や労力がかかり、副業や相続土地活用には負担が重い傾向があります。
管理委託方式では、日常的な管理を業者に任せられます。手間は減りますが、空車リスクはオーナーが負うため、稼働率が低いと収益が安定しない点がデメリットです。
一括借り上げ方式は、運営会社が土地をまとめて借り上げ、料金設定や管理、清掃、トラブル対応までを担う仕組みです。オーナーは固定賃料を受け取るだけでよく、安定収益と手間削減を両立できます。特にリスクを抑えて安心したい方に最適な方式です。
8.まとめ
ここまで比較してきたように、アパート経営と駐車場経営は、収益性・初期投資・リスク・管理負担のすべてにおいて特徴が異なります。「相続税対策や高収益を狙いたい」という方にはアパート経営が、「手軽さやリスクの低さを重視したい」という方には駐車場経営が向いています。
特に、駐車場経営は狭小地や変形地でも対応可能で、初期費用も抑えられるうえ、将来的な転用も容易です。さらに一括借り上げ方式を活用すれば、空車リスクや管理負担を避けながら安定収益を確保できます。
土地をどう活かすか迷っている方にとって、まずは信頼できる運営会社に相談し、自分の土地に最適な方法を見極めることが重要です。NTTル・パルクでは、全国で培った豊富な実績とノウハウをもとに、土地オーナー様に合った最適なプランをご提案しています。
大切な土地を資産へと変える第一歩として、ぜひお気軽にご相談ください。