更地よりもお得?駐車場経営にかかる固定資産税の真実と収益比較
目次
1.はじめに
土地を所有している方の多くが抱える悩みのひとつに「固定資産税」があります。毎年必ず支払う必要があるため、土地を有効に活用できていないと、ただの負担に感じられてしまうでしょう。特に更地で保有している場合、収益はゼロなのに税金だけが出ていくため、心理的にも金銭的にも大きな負担になります。
その解決策として注目されているのが駐車場経営です。
一方で、「駐車場は固定資産税が高くなる」と耳にして、不安を抱く方も少なくありません。この記事では、駐車場経営にかかる固定資産税の仕組みや計算方法を整理しつつ、メリットや注意点を解説します。
2.駐車場経営にかかる固定資産税とは?
駐車場経営を始める前にまず理解しておきたいのが、固定資産税の基本的な仕組みと、住宅用地との大きな違いです。ここを押さえておかないと「思ったより税金が高い」という誤算につながりやすいので注意が必要です。
2-1.固定資産税とは?
固定資産税は、土地や建物を所有している人すべてに課される地方税です。毎年1月1日時点の所有者が納税義務を負い、土地・家屋・償却資産(設備)などが課税対象となります。
算出の基準となるのは「固定資産税評価額」で、国土交通省の公示地価を参考に各自治体が独自の基準で評価額を算定します。そのため、実際の公示地価とは異なり、一般的には公示地価の70%前後になることが多いといわれます。ただし、立地条件や地目によっては固定資産税評価額が高めに設定されるケースもあり、想定以上の税負担になる可能性もあります。
なお、税率は通常1.4%で、都市計画区域内にある場合は上乗せで都市計画税(上限0.3%)も課されます。
2-2.駐車場と住宅用地の違い
固定資産税で大きな差が出るのが「住宅用地」と「駐車場用地」の扱いです。
住宅用地は優遇措置があり、課税標準額が最大で6分の1に軽減されます。そのため同じ評価額2,000万円の土地でも、住宅が建っていれば軽減後の課税額は大幅に下がり、固定資産税は数万円に抑えられるケースもあります。
一方、駐車場の場合はこの軽減措置は受けられません。そのため、同じ土地を住宅にする場合と比べて税額が高くなりやすいのです。「駐車場は固定資産税が高い」と言われるのはこの違いが理由です。
3.駐車場経営の固定資産税計算方法
仕組みを理解したら、実際にどの程度の負担になるのかをイメージしてみましょう。
例えば、固定資産税評価額が2,000万円の土地を駐車場にした場合、年間の税負担は次のようになります。
- 固定資産税:2,000万円 × 1.4% = 28万円
- 都市計画税(0.3%):2,000万円 × 0.3% = 6万円
- 合計:約34万円
つまり、この土地を駐車場に活用すると毎年34万円程度の税金が発生することになります。
では収益と比較するとどうでしょうか。仮に駐車場を10区画設けて月額1万円で貸し出すと、年間収入は最大で120万円となります。そこから税金34万円を差し引いても約86万円が手元に残ります。更地のまま何も収入がない状態で税金だけ払うよりも、駐車場として活用した方が圧倒的に有利といえます。
もちろん、土地の評価額や立地条件によって収支は大きく変わります。実際にどのくらいの税金がかかるのかを正確に把握するためには、税理士に相談するのが確実です。
4.駐車場経営をするメリット
「固定資産税が高くなるのでは」と不安を抱く方は多いですが、実際には駐車場経営ならではのメリットが数多くあります。ここでは代表的なポイントを整理します。
4-1.初期費用が安い
マンションやアパートなどの建物経営と違い、駐車場経営は大規模な建設工事を必要としません。舗装や区画線、車止めの設置といった比較的シンプルな工事で始められ、ご自身で駐車場設備を導入する場合の初期投資は数十万〜数百万円程度で済むケースが大半です。投資額が抑えられる分、回収までの期間が短く、万が一撤退する場合でもリスクを小さく抑えることができます。
4-2.安定収入を得やすい
月極駐車場では契約者から毎月定額の賃料を受け取れるため、収益の見通しが立てやすいのが特徴です。コインパーキングのように天候やイベントに左右されることもなく、長期契約が多い住宅街やオフィス街であれば、稼働率も安定しやすい傾向があります。さらに後ほど紹介する一括借り上げ方式を選べば、空車があっても固定の賃料が保証されるため、収益の安定度はさらに高まります。
4-3.他の用途に転用しやすい
建物経営と異なり、駐車場は撤退や転用が容易です。将来的に売却したり、建物を建てたりといった別の活用方法へ移行しやすく、柔軟に資産運用の方針を変えられる点も大きな強みです。「まずは駐車場で収益を得ながら様子を見る」という段階的な土地活用ができるのも魅力といえるでしょう。
5.更地で持ち続けるより駐車場経営が断然有利な理由
土地を更地のまま所有している場合も固定資産税は必ず発生し、収益はゼロのままです。例えば、固定資産税評価額が2,000万円の土地では、固定資産税と都市計画税を合わせて年間30万円台の税負担が発生します。駐車場にしなければ、この出費はずっと続きます。
一方、同じ土地を駐車場として10台分整備し、月額1万円で貸出せば年間120万円の収入が見込めます。固定資産税を差し引いても80万円以上が手元に残り、結果的にはプラスとなります。
もちろん、実際には空車リスク、初期投資、維持費が発生します。そのため、シミュレーション上の利益がそのまま手元に残るわけではありません。
それでも、更地のまま税金だけを払い続けることと比較すれば、毎年発生する固定資産税を、駐車場収入でまかなえる点は大きなメリットです。
6.駐車場経営の管理方式
駐車場経営といっても、運営の方法は一つではありません。どの方式を選ぶかによって、収益の安定度やオーナーの負担が大きく変わります。ここでは代表的な3つの管理方式を紹介します。
6-1.自主管理方式
契約や賃料回収、清掃やメンテナンスなどをオーナー自身で行う方法です。コストを抑えられる反面、トラブル対応や未払いへの対処などもすべて自分で対応する必要があり、時間や労力がかかります。
6-2.管理委託方式
契約業務や集金、日常の清掃などを専門の管理会社に委託する方法です。管理費が発生しますが、日常的な負担を軽減でき、トラブル時も専門業者に任せられる安心感があります。
6-3.一括借り上げ方式
運営会社が土地を一括で借り上げ、オーナーには毎月固定の賃料が支払われる方式です。空車リスクや日常管理をほぼすべて任せられるため、安定収入を得たいオーナーに人気があります。特に固定資産税の支払いが気になる方にとっては「毎月の賃料で確実に税金をまかなえる」という安心感が大きなメリットです。
7.一括借り上げ方式の強み
固定資産税は駐車場経営をしている限り必ず発生しますが、一括借り上げ方式を選べば税金の不安を最小限に抑えられます。例えば、自主管理で区画が半分空いてしまえば収入は大幅に減少しますが、一括借り上げ方式なら空き区画があっても契約通りの賃料が支払われるため、固定資産税の支払いに困るリスクはほとんどありません。
また、利用者対応や清掃、設備点検といった日常業務もすべて運営会社が担うため、オーナーは実質的に「土地を貸すだけ」で安定した収入を得ることができます。時間や手間をかけずに固定資産税の負担をカバーできる点で、一括借り上げ方式は非常に現実的な選択肢といえるでしょう。
8.まとめ
駐車場経営は住宅用地と比べると固定資産税の負担は大きくなりますが、更地のまま所有して税金だけを払い続けるよりも、収益を得ながら土地を活用できるため有利になるケースが多く見られます。特に一括借り上げ方式を選べば、空車リスクや管理の手間を気にせず、安定的に収益を得ながら固定資産税をカバーしやすくなります。ただし、具体的な税額や最適な管理方法は土地の立地や規模によって異なるため、最終的な判断には税理士や専門の運営会社への相談が欠かせません。
- 土地を活かしたいが、建物を建てる余裕はない
- 駐車場にしたいが収支の見込みが不安
- 税金分だけでも収入が得られる方法を知りたい
NTTル・パルクでは、土地条件に応じた収支シミュレーションや、最適な運営方式をご提案いたします。特に一括借り上げ方式では、空車リスクを抑えつつ、安定した賃料収入で固定資産税の支払いも安心です。まずはお気軽にご相談ください。